ある研究員の blog

日頃感じていることや、楽しいこと、疑問に思っていること、技術的なものなどを綴っていきます。

どのような疑問が良い疑問なのか?

先日のエントリーで、最初に研究における疑問点を明確に示す、ということを書いた。

では、どのような疑問が良い疑問と認識されるのだろうか?良い疑問の条件をここで考えてみよう。これはかなり感覚的な話になることをご容赦願いたい。

1.答えが本当に出るかどうか?

ここが最も重要なところのような気がしている。答えが出ない疑問点は考えても仕方がない。例えば、先日のプロセスA、プロセスBを例に出してみよう。

「プロセスAのフラックス、プロセスBのフラックスのどちらが大きいのか?」という疑問を考えたとする。余りにわかりにくいので、図に示してみた。

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この時、疑問を解決するためには、プロセスAとBのフラックスを求めなければならないことになる。しかし、これらのプロセスの反応は混じり合っていることが多々あり、通常だとハッキリと、xx mg/l/dayなどと計測できないこともあろう。つまり、現代科学においては、直接的に計測をすることが非常に難しく、解決できない疑問ということが多々あるのだ。(ただし将来的にはそれはできるようになるかもしれない)

そこで、このような場合には、どのような疑問を最初に考えるか、を再度論理構築する必要性に迫られる。その論理構築とは、解決できる疑問、白黒はっきりつく疑問を再度考えることである。例えば「生成物は、プロセスBよりプロセスAの方に強く影響される」という疑問であれば、どうか、、、等の検証を行うことになる。これであれば、数値的に大きい、小さい、という疑問ではなく、基質AとBの濃度を計測すれば解決できる疑問かもしれない。

2.その疑問に深いバックグラウンドがあること

深いバックグランドがあることは極めて重要な点だ。プロセスA,B議論の後ろに隠れていることが多い。つまり、上の例を再度持ち出すと、A,Bのどっちに強く影響を与えているかということがわかれば、これまで未知だったプロセス、あるいは謎とされた現象の一端を解明できるなどのことがあれば、それは極めて重要な知見として認識できる。つまり、イントロダクションではこのようなことをしっかりと意識しながら、文章を練っていくことによって、より重要な課題に対して解決する糸口を与える意識を持たせることが可能となるのだ。